"人事労務"カテゴリーの記事一覧
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従業員様が入社される場合、いくつか書類の受け渡しをされていると思います。今回は改めてその書類の確認の為に以下に記載いたします。
1.必ず必要な書類
1.1.雇用契約書(もしくは労働条件通知書)労働基準法第15条にて「使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件 を書面などで明示しなければなりません。」というものがあります。この書類で明示します。
1.2.マイナンバー
マイナンバーは、各種社会保険手続きや税の手続きに必須となっています。特定個人情報となりますので、取り扱いには注意が必要です。
2.役所への手続きに必要な書類
2.1.履歴書
履歴書は本人が記載する書類ですので、氏名漢字やフリガナ、住所、生年月日等は一番信ぴょう性がある書類として、利用します。扶養者の有無も確認ができます。また、雇用保険資格取得手続きにて前職情報が必要な場合があるため、その確認にも利用します。
2.2.扶養控除等申告書
税扶養の確認及び、健康保険の被扶養者の確認に利用します。
2.3.前職の源泉徴収票、雇用保険被保険者証
前職の源泉徴収票は、年末調整にて必要となります。また雇用保険の被保険者証は、雇用保険手続きに利用します。
3.状況に応じてあった方が良いもの(任意)
3.1.入社誓約書
入社時に情報漏洩防止や反社会的勢力排除の誓約を行うことが多いです。入社時に在籍中のみではなく退職後の情報漏洩防止の誓約にサインをもらうことも重要ポイントです。
3.2.身元保証書
万が一、入社した従業員の故意まは重大な過失にて大きな損害賠償を被った場合、身元保証人にその保証をしていただくための書類です。最長5年の保証書となっており、5年毎に更新される会社もあります。また2020年4月以降に締結された身元保証書には、上限の記載が必須となりました。上限の記載がない場合は、その契約が無効となりますので、不安がある場合は、再度見直してください。
3.3.インターネット利用に関する誓約書
SNS等気軽にWEBへ写真や動画、記事等アップロードできる時代です。許可がない限りは勝手に会社の情報を公開しないような誓約書を個別に作成する場合があります。
3.4.自動車運転免許証、任意保険の写し自動車やバイクにて通勤する場合もしくは業務利用する場合は必ず運転免許証の写しを確認し、任意保険証の加入の有無、補償内容の確認(対人、対物無制限)を確認してください。利用目的が、通勤もしくは業務利用になっているかの確認も重要です。
滅多にないですが、無免許、もしくは自賠責のみで任意保険をかけていない従業員の事例もありますので、要注意です。
3.5.健康診断の結果の写し
常時雇用者の場合、労働安全衛生規則第43条にて雇い入れ時に健康診断が義務付けられています。もしも、従業員が雇入れ前3ヶ月以内に受けた健康診断の結果を提出する場合は、雇入れ時の健康診断を省略することができます。採用の際に、健康状態が仕事に適しているかどうかは気になるポイントでもありますので、入社前に確認しておくべきです。入社後健康診断を行うとしても、入社前に既往症申告書等を利用して事前に健康状態を確認しておくことをお勧めします。
他、自動車利用に関する誓約書や、給与振り込み先届等、諸々ございますが、代表的な書類紹介として記載いたしました。
※入社誓約書や、身元保証書等は、弊所ホームページ「たつの社労士で検索」にてテンプレート集にて確認できます。
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加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所 -
勤続10年、20年などの従業員を表彰し、報奨金を支給する際、課税されるのかどうか、また労働保険料や社会保険料の支払が必要なのかどうかという質問を受けることがありますので、以下、このポイントについて法律の定めを軸に記載します。
1.現金支給は課税となる
永年勤続の表彰に当たって支給する記念品の支給や旅行、観劇の招待などは一定要件のもと給与として課税しなくてもよいことになっています。
ただし現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券は券面額)が給与として課税されます。
① 勤続年数や地位などに照らして、社会一般的に見て相当な金額以内であること
② 勤続年数が概ね10年以上の人を対象としていること
③ 同じ人を2回表彰する場合には、前に表彰してからおおむね5年以上の間隔があいていること
(国税庁ホームページより)
2.労働保険料の支払いは不要
永年勤続報奨金は、就業規則・労働協約等の定めのありとなしを問わず、労働保険対象の賃金とされず、保険料の支払いは不要となります。
・その他労働保険対象賃金としないもの
結婚祝い金・死亡弔慰金・災害見舞金・退職金等
(厚生労働省ホームページより)
3.社会保険料の支払いは不要
永年勤続報奨金は、一定の条件を満たす場合、社会保険対象の報酬に含まれず、保険料の支払いは不要。
・社会保険料計算の対象外となる表彰金の条件
① 一定の勤続年数に達した際に、労働の内容に関わりなく一律に支払われるもの(概ね10年ごと)
② 表彰金が社会通念上の祝い金の範囲を超えない
③ 誠実に勤務した労働者に恩恵的に支払われる
④ 賃金・賞与でなく表彰金として規定化してある
【参考:社会保険審査会裁決 (平.18.9.29裁決)】
5.まとめ現金支給の永年勤続報奨金は給与所得として課税対象となり、支給の際は所得税を控除する必要があります。
一方、労働保険・社会保険は計算対象外となりますが、社会保険料計算対象外とするためには、就業規則へ表彰規定の記載が必要となります。
永年勤続報奨金は、成績や数値によらず公平に表彰できるため、従業員の不満は生じにくいと思われます。「あと1年で永年勤続報奨金がもらえるからまだやめないでおこう」というような従業員の離職防止やモチベーションアップにもつながるので、退職金制度と比べて取り入れやすい福利厚生の一環として制度の導入を考えてみてはいかがでしょうか。
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加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所 -
健康保険の協会けんぽより、令和4年10月中旬から順次「被扶養者状況リスト」が事業所へ届いていると思います。年に一度、健康保険の扶養者登録されている方の確認ができる帳票となります。
従業員数が多くなると、従業員ご本人の保険加入状態は毎月の給与計算時点で確認され、都度確認可能ですが、健康保険の被扶養者は、個別に管理しておかないと、わからなくなってしまう情報です。
このため、この「被扶養者状況リスト」は必ず控えを保存して確認できるようにしていただくことをお勧めいたします。
また、弊所と顧問契約(相談顧問除く)にてご契約の事業所様は、この控え書類をスキャンデータ等で弊所にもご共有いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
また、健康保険の扶養者は何人登録しても保険料が変わらないというメリットがあります。(国民健康保険は、人数によって保険料が増減します)このタイミングで、被扶養者の要件を再度ご確認いただき、ご両親や兄弟姉妹が加入漏れが無いかを確認していただくのも良いかもしれません。
被扶養者の要件は、文章量の都合上記載できませんが、ぜひ、インターネットにて検索してご確認ください。検索キーワード例「協会けんぽ 被扶養者条件」
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加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所 -
2022年の中小企業の賃上げ状況
経経団連が公表した「2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計 2022年8月9日)」によると100人未満の事業所では4,497円で前年の4,162円より331円高い数字となっています。
物価上昇や人材不足当の影響による賃上げの流れに加え、政府からの要請もあり、上昇傾向にあります。
従業員規模
平均昇給額
100人未満
4,497円(前年4,162円)
100人~300人未満
5,059円(前年4,267円)
300人~500人未満
5,135円(前年4,529円)
賃金の上昇は、仕事の付加価値の向上に伴うものでると考えられますが、一方、知らないところで外的要因(物価上昇、最低賃金上昇や、求人不振による給与テーブルの見直し等)によって上げざるを得ない状況となった場合、その会社組織には不満がたまるような気がします。
私たちができることは、日本全体、世界全体の動向目を光らせ、政治へ期待すると共に、目の前の仕事を少しでも向上させ、売上を向上させ、外的要因よりも先に昇給を行うことが、より組織の安定につながるのかもしれません。
(参考リンク)
経団連「2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計 2022年8月9日)」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2022/075.pdf
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加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所 -
「パートに退職金を出すなんて、社員にも退職金を出していないのに、うちの会社には関係ない」と考えている事業所は多いと思います。弊所もその一つですが、社員は退職金なしで、パートに退職金制度を作成することの有効性を考えてみました。
◆ パートの時間的縛り、金銭的縛り=扶養制度
パート勤務を希望される方の多くは税扶養や健康保険の扶養の範囲内で勤務をされています。扶養の範囲内で勤務を超えた場合、手取りの金額が減ってしまうという弊害があるからです。
一方、最低賃金が上昇し、時給が上がっているため、その分勤務時間が減っています。年末になると全然出勤しなくなってしまうパート職員もいるほどです。
この状態でパート職員の成績や勤務態度を適正に評価し、成績上位者が時給を昇給した場合、せっかく昇給したのに、その分、勤務時間が減ってしまい、会社として何のための評価制度なのかもわからなくなります。このため従業員本人へ適正評価もされなくなりますし、昇給も最低限。従業員もモチベーションを上げても意味がないという流れになります。
◆ 評価に応じて退職金を積み立てる
扶養の縛りの中、適正な評価を行い、やる気をもって仕事に取り組んでもらうために、昇給分を退職金として積み立て、退職されるときに支給するという方法があります。
退職金は、社会保険、労働保険はかかりませんし、税金面でも非課税枠がありますので、ほとんどどのままご本人のお手元に入る可能性があるため、普通に昇給するより本人にとっても有利です。
もちろん退職金を残しておく必要がありますし、退職金制度を導入すると、もしも経営がうまくいかなくなり財源が枯渇してしまった場合、足かせになることも十分考えられますので、検討は慎重に行ってください。
加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務所
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