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業務外にて新型コロナウイルス感染症に罹患し、3日を超える期間、療養にて仕事ができない状態である場合、傷病手当金を申請できます。その新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金については、臨時的な取扱いとして、療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付を不要としておりましたが、申請期間(療養のため休んだ期間)の初日が令和5年5月8日以降の傷病手当金の支給申請については、他の傷病による支給申請と同様に、傷病手当金支給申請書の療養担当者意見欄(申請書4ページ目)に医師の証明が必要となりました。ご対応いただく際、ご注意ください。
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来年3月に高校卒業を迎える生徒向けの求人が7月開始されます。
所轄のハローワークに求人申込後、求人票を受領後、学校に送付もしくは持参していただくと、生徒はそれを見て夏休み中に検討し、夏休み明け9月に応募、その後事業所にて選考という流れとなります。今般の中小企業においての人材不足は甚だしく、いままで敬遠していた事業所様も高卒求人にチャレンジし始めています。一般的に新卒求人は中途採用に比べて求人費用が安く、離職率が低いことが特徴です。といっても、大企業も高卒求人に力を入れているため、高卒求人を出しても、大企業へ応募が集中するため、「良い反応がなかった」と肩を落とされる事業所も多いのが現状です。生徒にとって学校でみる求人票はきっかけであり、自宅に戻って、ネットで検索し親と相談しながら決めるのは当然ですので、求人用のホームページを見直し、生徒および親目線で事業所の特徴を表現する必要があると考えます。一方、中小企業は財源が限られており、どうやって特徴を出せばよいのか皆目検討がつかないという事業所も多いと思いますので、いままで見聞きした事例を以下記載したいと思います。
◆退職金制度導入
以前地域活動をしていた際に、実際に就職が決まった高校3年生から直接聞いたことですが、「他と比べて退職金制度があったから決めた。10年くらい勤めたら結構もらえる」という声がありました。この声から想像するとその企業は10年後の退職金の金額を明示していたことがうかがえます。高校生の驚く金額及び、親御さんのまあ良いのではないかと思う金額の基準にすることとなるでしょう。また、学校で高校生徒へ目に留まる必要があるため、求人票と合わせてPR用リーフレットを差し入れが有効で、そこに、10年後の退職金を前面に出す等の工夫も必要と考えます。
今般、求人に100万円をかけて、数カ月内に退職してしまうことも珍しくなく、10年勤続後の退職金を100万円支給したとしても経費として安く、なにより高校生にとっては、非常に高額にみえるのは想像できます。一方、退職金制度は一度作成すると、廃止しにくい性質もあります。他の従業員様への配慮なども注意しないといけません。
◆給与と賞与の塩梅
現在、給与と賞与を支給されている場合は、賞与を廃止して、賞与支給分を毎月の給与月額に加算して他の求人票と比べて給与月額が高く表現するということを実行された事業所様と、これとは逆に、いままで賞与が無かったが、求人応募者が少ないので、賞与制度を作ったという事業所様がありました。どちらも甲乙つけ難く、給与月額は、後で減額するとなると従業員様の同意が必要で難しく、賞与はほとんどの場合、規程にて「会社業績によって変動する」としているため、もしもの場合に調整が聞きますが、やはり賞与制度ありとなると期待が膨らみます。実際に賞与支給されないとなると意欲がなくなります。両者とも人件費は増える話になるのは間違いないです。そして当然、他の従業員様への配慮が必要です。本件においては、給与や賞与を変化すること、また変化をすることを求人募集として表現することが、有効なことなのかなと感じました。
◆技術が手に入る、資格や講習がたくさん手に入る
手に職をつけたいというニーズはあると感じます。社内では当たり前と感じている仕事ですが、外部からすると技能にあたる職務があると思います。これを前面に表現するのも良いと感じたことがあります。実際に建設業や製造業等であれば、ほとんどの場合、技能が身につくと思いますし、日頃の業務を改めて洗い出すと、求人募集へ表現できそうなものがあると思います。弊所のような事務職であっても、「事務処理能力に身につく」は、特別な能力ではないと感じてしまい表現に尻込みしますが、「どんな会社にも事務処理は必要です。どこでも通用する事務処理能力が身につきます。」等の表現なら目に止まるかもしれないなと思います。また、資格や技能訓練、講習などは、会社としてサポートする体制を制度化して表現することは、高校生にとっては、魅力に感じると考えます。自身が10代20代の時を振り返ると、今よりも野心があり、成長欲があったように思います。「高卒3年後、21歳の自分」という文章やイラスト、漫画を作成し、大学生の友達や他就職した友達に、資格や技能を自慢しているようなイメージを加えると、より意欲が沸き、わかりやすいと思います。費用面でも、継続的に支給しないといけない給与と違って、講習受講等の一時的なものですし、チャレンジしてもらった方が会社にとっても、有益と思いますので、この資格講習サポート制度は、新卒求人には有益と感じます。
◆まとめ
新卒求人募集の競合相手は、大企業です。生徒も親御さんにも人気があります。中小企業ならではの身軽で身近で、手数が多いアプローチが必要かもしれません。18歳との良縁に巡り合えば、少子超高齢化社会の日本では、宝くじがあたったようなものですが、宝くじより確率が高いです。再考、一考の余地ありと考えます。 -
標準報酬月額の変更について
先月の「標準報酬月額の決定及び改定について」では、資格取得時決定、定時決定、随時改定、育児休業等終了時の改定、保険者決定があることをご紹介しました。今回はその中から、資格取得時決定と育児休業終了時の改定を取り上げたいと思います。
◆資格取得時決定
新たに従業員を採用しようとする際、求職者から手取り金額など聞かれることがあるかと思います。手取り額は、支給総額から所得税や雇用保険料など差引いた残りの金額となりますが、その中でも大きなウエイトを占めるのが社会保険料(健康保険と厚生年金保険)です。
入社時(社会保険の資格取得時)は、報酬(基本給や通勤手当などの諸手当含む)の見込額により決定した標準報酬月額等級の金額を保険料とします。
仮に、試用期間として入社後1か月、通常より低い給料を設定すると、その低い給料に基づき保険料が決まります。そのため、試用期間が終了した2か月目以降、通常の給料へ戻したとしても、新たに随時改定、もしくは定時決定の対象になるまで、入社時に決定した保険料がそのまま引き継がれることになります。
※適用期間
資格取得日1月1日~5月31日の場合 その年の8月まで
資格取得日6月1日~12月31日の場合 翌年の8月まで
◆育児休業終了時の改定
随時改定に似たものですが、3要件((1)固定的賃金の変動 (2)前回と今回の標準報酬月額の等級差が2等級以上 (3)3か月間の賃金支払基礎日数が全て17日以上)を満たさなくても、育児休業を終了し、かつ3歳未満の子を養育している人が、職場復帰後に時短勤務等で休業前に比べて給与が低下した場合に、標準報酬月額を見直すことができます。
そして、パート職員や職場復帰後もフルタイムで働く人(特に男性)は対象になりにくいため、申請は少ないのが現状です。逆に対象になりやすいのは、女性の正社員で休業前にバリバリ働かれていたが、職場復帰後、短時間勤務や職務変更により給料減となった場合が想定されますので、この申請が少ないということは、ある意味、女性活躍社会としては、まだまだ発展途上の段階であるということが推察できます。
今後、労働力不足を背景として、今まで以上に女性活躍社会を推し進めていくことが予想されますので、徐々にこの申請も増えてくるかと思われます。
※適用期間
改定月1月~6月の場合 その年の8月まで
改定月7月~12月の場合 翌年の8月まで
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標準報酬月額の決定および改定について
毎月の給与から控除されている社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)は、給料(報酬)の金額を一定の幅で区分した標準報酬月額をもとに計算されています。対象となる報酬は、基本給、残業手当、通勤手当、家族手当など、労働の対象として事業所から現金または現物で支給されるもので、標準報酬月額の区分は、健康保険では1等級(5万8千円)から50等級(139万円)、厚生年金保険は1等級(8万8千円)から32等級(65万円)となっています。
標準報酬月額の決め方には、資格取得時決定、定時決定、随時改定、育児休業等終了時の改定、保険者決定とありますが、今回は、定時決定と随時改定について記載します。
◆定時決定(算定基礎届)
年に1度、7月に実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないよう見直し、1年間の社会保険料を決定します。手続きは「算定基礎届」によって行うこととなっていて、届出用紙は6月中旬以降に事業所あてに送付され、7月10日までに提出する必要があります。
・算定方法
7月1日時点の全被保険者につき、4月、5月、6月に支払われた3か月分の報酬の総額から、1か月の平均を計算し、標準報酬月額の等級にあてはめ、決定します。
日本年金機構HPより・提出対象者
7月1日時点で健康保険・厚生年金保険の被保険者である方で、以下に該当する方を除く。(1)6月1日~7月1日に資格取得した方
※資格取得時決定の対象(2)7月~9月に標準報酬月額の改定が行われる方
※随時改定の対象
◆随時改定(月額変更届)被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します(随時改定)。固定的賃金とは、基本給や資格手当等の毎月固定で支払われる賃金で、一方、毎月変動する時間外手当等は非固定的賃金と呼びます。随時改定を行うのは、固定的賃金に変動があったとき、時給から月給等、給与体系の変更があったとき、手当を新設したとき等です。随時改定は、下記の3つの要件を全て満たす場合に行います。
・要件
(1) 昇(降)給等により固定的賃金に変動があった。(2) 変動月から3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3) 3カ月とも支払基礎日数が17日以上である。
支払基礎日数とは、報酬の基礎となる日数のことで、日給、日給月給の場合は出勤日数、完全月給の場合は暦日数となります。また、月平均所定労働日数をもとに欠勤控除を行う場合は、月所定労働日数から欠勤日を引いた日数となります。
上記(1)∼(3)全ての条件を満たした場合、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4カ月目(例:4月に支払われる給与に変動があった場合、7月)の標準報酬月額から改定されます。
※次の場合には、随時改定の対象とはなりません
固定的賃金は上がったが、残業手当等の非固定賃金が減ったため変動後3カ月平均が2等級以上の差が生じた。
固定的賃金は減ったが、残業手当等の非固定賃金が上がったため変動後3カ月平均が2等級以上の差が生じた。・随時改定後の適用期間
改定月1月~6月の場合 その年の8月まで
改定月7月~12月の場合 翌年の8月まで
▼以下、日本年金機構HP
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/index.html
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◆「企業型DC」
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。 企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入できるかどうかを選択できる場合(選択型企業DC)があります。◆「iDeCo+(イデコプラス)」
iDeCo+(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)は、従業員が加入するiDeCoに、事業主が上乗せして拠出するもので、従業員300人以下の中小企業向けの制度です。iDeCo+では、従業員に対する投資教育や、運営管理機関との契約は必要なく、より負担が少なく利用できる制度となっています。
事業主掛金は企業型DCと同様に全額損金計上でき、税金・社会保険料の対象となりません。運用時、受給時の税制メリットも同様に適用されます。
▼以下、iDeCo公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/
◆まとめ
事業主にとって、人材の確保と定着率の向上は常に課題となっています。従業員がより長く、安心して働き続けられるためにも、福利厚生の一環として制度の導入を検討してはいかがでしょうか。
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