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加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所ブログ

兵庫県たつの市を拠点とした社会保険労務士(社労士)の事務所です。加古川市、姫路市、たつの市等、播磨地域全域を中心に活動しております。

労使(労働)慣行についてー加古川・姫路の山本社会保険労務士事務所ー

◆労使(労働)慣行について 

 労使慣行とは、企業社会一般又は当該企業において、一定の事実が相当期間にわたり継続して行われ、これに従うことが労使双方で当然とされている場合をいいます。例えば、退職金の支給に関し、退職金規程はないが、これまでわずかの例外を除いて退職者全員に退職金が支給され、支給基準も同一であった場合は、退職金支給の労使慣行が成立していると判示されています(宍戸商会事件・東京地判昭和48年2月27日)。

そして、労使慣行は、公序良俗や強行規定に反する場合は法的効力が認められませんが(法の適用に関する通則法第3条、民法第92条参照)、それ以外は法的効力が認められ、具体的には、労働契約の内容となったり、就業規則又は労働協約の解釈基準として、その内容を補充したり、具体化する役割を演じることになります。

そこで、見解は分かれるのですが、最近の裁判例は、労使慣行の成立には次の三つの条件を満たすことが必要との考えに立っています(東京中央郵便局事件・東京地判平成3年8月7日など)。

①同種の行為又は事実が長期間反復継続して行われていること

②当事者がこれに従うことを明示的に排斥していないこと

③当該労働条件についてその内容を決定し得る権限を有し、又はその取り扱いについて一定の裁量権を有する者が、これに従うことを当然としている(これを規範と考えている)こと

【広島県雇用労働情報サイトわーくわくネットひろしま より】

◆まとめ

皆さんの事業所においても、上記要件①~③を充たした場合、当事者が気付かないうちに労使慣行が成立してしまう可能性があります。

そこで、そのような労使慣行の成立を阻止するため、就業規則等に定めていない「今回限りの特別臨時措置」であったり、「事業所内の一部部門のみの暫定処理」を行う場合には、その旨を明確化した上、上記要件①~③を充たさないよう留意する必要があります。

仮に、事業所内にルール(就業規則等)がなかったり、あったとしても内容が不明確な場合、労使慣行が成立する可能性が高くなります。そのため、日々の事前防止策として、自社の就業規則等を整備し、労使慣行となり得るものを減らしていくことが肝要です。

もし、就業規則等の整備にお困りでしたら、ぜひ弊所へお声掛けください。事業所の秩序を維持するため、働きやすい職場として良い人材を確保するため、目的は様々ございますが、それぞれの事業所に適した就業規則等の作成をお手伝いさせていただきますので、何卒よろしくお願い致します。

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