夏の賞与の支給を終えられたところが多いかと思います。賞与は従業員のモチベーションアップに貢献しますが、今回はモチベーションアップの制度のひとつである「退職金制度」について取り上げます。勤続年数によって退職時に支給される一時金、というイメージが一般的な退職金ですが、その制度の種類や導入効果などを確認していきます。
退職金とは
従業員が退職をする際に会社から支給される一時金や年金を退職金や退職給付といいます。諸説ありますが、起源は江戸時代の「のれん分け」と言われているそうです。長年の奉公を終えた際に独立の業を営む権利の「のれん」を渡したり「ご苦労様」と慰労の意味や独立の資金として「金一封」を渡していたそうです。
現在では退職金制度を導入している企業の割合として、従業員数30~99人までの会社で70.1%、従業員数100~299人までの会社で84.7%の割合という回答結果が令和5年の厚生労働省の調査で出ています。
厚生労働省 「令和5年就労条件総合調査概況」より抜粋・転載
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaiyou03.pdf)
退職金制度の目的
第13回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 「企業年金・個人年金制度の現状等について」より抜粋・転載
(https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/000660680.pdf)
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厚生労働省 「令和5年就労条件総合調査概況」より抜粋・転載
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaiyou03.pdf)
退職金制度の目的
退職金には
① 長年の功績に対する報奨
② 賃金の後払い
③ 生活保障
という意味合いがあります。
退職金を支給するのは義務ではありません。そのため、退職金制度がないことで問われる法律上の問題はありませんが、制度を導入することには企業にとってメリットがあります。
■メリット:
優秀な人材の確保
勤続意欲向上
不正行為の抑止力
など、求人票へ記載することで求職者へのアピールになり、長期勤続への期待などの効果が挙げられます。
また、制度によって税制優遇があります。詳しくは税理士先生にご確認ください。
一方で課題としては
■デメリット:
導入にお金や労力がかかる
制度の維持
不況時の資金繰り
などが挙げられます。また、一度制度を導入すると簡単に廃止することはできないため、導入には慎重な検討が必要です。
退職金制度の種類と特徴
退職金には一時金と年金があります。また退職金の確保は社内で準備するか、社外で準備するかという点もあります。それらを含めて今回は4種類を制度導入の検討対象として挙げてみます。
① 自社積み立て
② 企業型DC(確定拠出年金)
③ 生命保険
④ 中小企業退職者共済制度(中退共)
第13回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 「企業年金・個人年金制度の現状等について」より抜粋・転載
(https://www.mhlw.go.jp/content/10600000/000660680.pdf)
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