つながらない権利とは、勤務時間外や休日に、仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利のことです。中小企業においては猶更、耳の痛い話と感じられる経営者は多いのではないでしょうか?
2017年にフランスが施行した改正労働法であり世界各国で法整備が進んでいます。スマホにて、いつでもどこでも仕事の連絡がくる時代ですし、フレックスタイムやテレワーク等で労働と生活の判断が付きにくい時代となっております。
この背景から、時間外や休日を問わず業務上の対応を迫られ、体調を崩してしまう人が増えていると言われています。また、業務時間外や休日への不要な干渉は、ハラスメントにも繋がるとされています。
といっても、得意先(顧客)からは、関係なく電話は鳴るし連絡は来ます。対応しないことで大事な収入源が減少してしまうのではないかという不安は、起業というマイナススタートから、なんとかプラスに持ってこられた経営者であれば、必ず感じられるものと思います。
一方、人材確保(定着)がままならない状況では、次の一手が打てないという経営者も多くなっております。
日本では、まだ法整備までに至っておりませんが、休日の電話やメール対応等も業務ですので、少ない時間でも労働時間分の賃金(割増賃金含む)の支払いの義務が発生することは御想像の通りです。求人を出せば、すぐに人材が確保できる時代ではありませんので、離職やトラブルにつながる原因は、少ない方が良いです。
【当てはまったら要注意!】
・ 従業員に対し、電話、LINEやメールなどで時間を問わず連絡することがあり、返事を強している
・休日でも従業員に電話を掛けて不急の対応をさせる
・メールなどに即座に返信しなければペナルティを課す
上記の様な対応をされていると、従業員は「休日や業務外に会社から連絡が来ると、動悸がするようになった」「会社からの連絡が気になり眠れない」等に発展し、従業員の近しい方にご本人が相談した際、「辞めた方が良い」と言う流れになります。
直ぐに離職となるか、うつ病診断からの長期休職を経て、トラブルを抱え離職となるかはわかりませんが、好ましい状況ではありません。
対応方法としては、①得意先(顧客)に営業時間を理解してもらい、業務外対応は、極力しない習慣をつける。②業務の属人化を解消し、誰でも対応できる業務を増やす。③情報漏洩の観点からも、社内ルールとして会社スマホを持ち返らない。個人用スマホで業務を行わないことを決める。④即時反応を武器にするのではなく、他の強みを伸ばす 等が挙げられます。
日本でもつながらない権利について法改正となった場合は、得意先(顧客)にも説明し易く、それをきっかけに対応できるのですが、実際に従業員が気を病み、いざ離職するということになってから手をつけるとなると、混乱が予想されますので早めの対応をお勧めします。
なお医療介護などの業種の中にはオンコールと言われる電話当番業務がありますが、この業務については諸条件がありますが、業務ではないと判断されることがあります。この点の仔細の必要であれば弊社担当お問い合わせください。
コメント