「パートに退職金を出すなんて、社員にも退職金を出していないのに、うちの会社には関係ない」と考えている事業所は多いと思います。弊所もその一つですが、社員は退職金なしで、パートに退職金制度を作成することの有効性を考えてみました。
◆ パートの時間的縛り、金銭的縛り=扶養制度
パート勤務を希望される方の多くは税扶養や健康保険の扶養の範囲内で勤務をされています。扶養の範囲内で勤務を超えた場合、手取りの金額が減ってしまうという弊害があるからです。
一方、最低賃金が上昇し、時給が上がっているため、その分勤務時間が減っています。年末になると全然出勤しなくなってしまうパート職員もいるほどです。
この状態でパート職員の成績や勤務態度を適正に評価し、成績上位者が時給を昇給した場合、せっかく昇給したのに、その分、勤務時間が減ってしまい、会社として何のための評価制度なのかもわからなくなります。このため従業員本人へ適正評価もされなくなりますし、昇給も最低限。従業員もモチベーションを上げても意味がないという流れになります。
◆ 評価に応じて退職金を積み立てる
扶養の縛りの中、適正な評価を行い、やる気をもって仕事に取り組んでもらうために、昇給分を退職金として積み立て、退職されるときに支給するという方法があります。
退職金は、社会保険、労働保険はかかりませんし、税金面でも非課税枠がありますので、ほとんどどのままご本人のお手元に入る可能性があるため、普通に昇給するより本人にとっても有利です。
もちろん退職金を残しておく必要がありますし、退職金制度を導入すると、もしも経営がうまくいかなくなり財源が枯渇してしまった場合、足かせになることも十分考えられますので、検討は慎重に行ってください。
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