従業員から退職を申し出る場合、退職理由は「自己都合退職」であり、「解雇」を希望するというのは、それ自体が不自然な話です。しかしながら、そのような申し出をされる事業主の方は少なくありません。
これは退職理由によって失業給付(雇用保険の求職者給付の基本手当)の受給開始時期、及び受給できる日数(所定給付日数)が異なるためで、自己都合退職よりも解雇の方が有利となるためです。
【基本手当の受給開始時期】
退職理由が解雇の場合、ハローワークにて申請手続き後、実際に銀行口座に振り込まれるのは約1か月後となります。退職理由が自己都合退職の場合は、積極的な就職活動を促すため、2か月間の給付制限期間が設けられており、約3か月後からの支給となります。
【基本手当の所定給付日数】
1.解雇・会社の倒産など
年齢、被保険者期間に応じて90日から330日
2.自己都合退職
被保険者期間に応じて 90日から150日
解雇扱いとすることで退職者に有利になり、助成金を申請しないのであれば、会社に不利益がないようにも考えられますが、雇用保険手続きにあたり、本当の退職理由を記入しなければ違法になります。
さらに解雇にしたことにより、退職者から不当解雇を主張される可能性があります。裁判となると、期間中の賃金支払義務が発生し、慰謝料を請求されることもあります。
本来の退職理由が自己都合退職の場合は、解雇にしてほしいという従業員からの交渉には応じないようにしてください。またその際には、退職届を提出してもらうようにしてください。
7008
加古川・姫路の社会保険労務士は山本社会保険労務士事務
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