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6月に開催された未来投資会議で、政府より成長戦略実行計画案が発表されました。「全世代型社会保障への改革は安倍内閣の最大のチャレンジである」と謳われており、高齢者の労働環境や、労働者の採用についての見直しを図ることについて触れられています。今回は高齢者の労働環境について内容をご紹介します。
■70歳までの就業機会確保
2025年には人口約1億人まで減少すると見込まれています。平均寿命、そして健康寿命は延び続けており、高齢者も労働人口になりうる余地があります。また、60歳以上の方で70歳以降まで働くことを希望している高齢者は8割に上ることも分かっています。働く意欲のある高齢者がその能力を発揮できるよう、活躍の場を整備し選択肢を広げることが必要であるとされています。「定年廃止」「70歳までの定年延長」「継続雇用制度導入」「他の企業への再就職の実現」「個人とのフリーランス契約への資金提供」「個人の起業支援」「個人の社会貢献活動参加への資金提供」が想定され、法制整備にあたっては段階的に70歳までの就業機会確保を努力義務から義務規定化していく方向であることに触れられています。また、関心の高い項目として年金制度についても記載されています。現在のところ、65歳からになっている年金受給開始年齢の引き上げは行わないとされています。年金受給開始年齢の繰り上げを70歳以降も選択できるように範囲を拡大し、収入によって年金が支給調整される在職老齢年金制度は廃止の方向です。より柔軟に各個人が就業できる環境を整えて、就労を阻害するあらゆる壁を撤廃し、働く意欲を削がない仕組みへと転換することを目標とし、働くモチベーションを高め、能力を発揮できる環境の整備の為、シルバー人材センターの機能強化も目標とされています。 -
特定の要件を満たす求職者を雇い入れした場合に、助成金が支給されることがあります。貴社の求人に助成金の要件に該当する求職者の方から応募が来ることがあるかもしれません。要件をご紹介いたします。
□特定就職困難者コース高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母、身体知的障害者等の方が対象です。主な要件・ハローワーク、特定地方公共団体、有料・無料職業紹介事業者等(以下、ハローワーク等)からの雇入れであること・雇用保険の一般被保険者として継続して雇用することが確実であること支給額・短時間労働者 40万円~80万円・短時間以外 60万円~240万円
□生涯現役コース雇入れ日において65歳以上の求職者を雇入れた場合、助成されます。主な要件・ハローワーク等からの雇入れ・雇用保険の高年齢被保険者として1年以上雇用することが確実であること支給額・短時間労働者 50万円・短時間以外 70万円
□安定雇用実現コース雇入れ日において35歳以上60歳未満の求職者を雇入れた場合、助成されます。主な要件・通算して正規雇用労働者の期間が1年以下であり、過去1年間に正規雇用されたことがないこと・ハローワーク等などの紹介の時点で失業状態にあり、正規雇用労働者を希望していること支給額・60万円その他、学校の既卒者を新卒枠で採用した場合にも助成されるコースもあります。
詳しくは、弊所へお問い合わせください。
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□65歳超継続雇用促進コース65歳以上への定年の引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施すること。<主な要件>・就業規則等で定めている定年年齢を過去最高を上回る年齢に引き上げること。・定年の引上げ等の実施に対して、専門家へ委託して経費の支出があること。・1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること。<受給額>定年等の引上げ年数に応じて5万円から160万円
□高年齢者評価制度等雇用管理改善コース高年齢者の雇用管理制度を整備するための措置を実施すること。今年の4月より新しいコースです。<主な要件>・高年齢者の能力開発、能力評価、賃金体系、労働時間等の雇用管理制度の見直しもしくは導入。・法定の健康診断以外の健康管理制度の導入。<受給額>支給対象経費の60%(措置の実施に必要な専門家への委託費、コンサルタントとの相談経費等)
□高年齢者無期雇用転換コース50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する<主な要件>・高年齢者雇用管理に関する措置を実施・無期雇用転換後6ヶ月分の賃金を支給・法定の健康診断以外の健康管理制度の導入<受給額>対象労働者1人につき48万円
労働人口の減少により人手不足が深刻になりつつあり、年齢に関係なく働ける環境の整備が重要になってきています。
助成金に沿った取り組みをしてみてはいかがでしょうか?
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従業員による不適切な動画のインターネット、SNSへの投稿がニュース等でも取り上げられ、大きな問題となっています。店内の商品を飲食したり、店内でたばこを吸ったり、ごみ箱に捨てた食材を戻して使用したり、ショッピングカートに乗って遊んだり…会社の評判並びに実際の売り上げにも多大な悪影響を及ぼす恐れのある、いわゆるバイトテロ!自分の会社の従業員はそんなことする人はいないから大丈夫!ではなく、しっかり対策をしていないと起こる可能性はあります。対策を見てみましょう。□現在対策をとっている会社は?・研修の実施 39%・ガイドライン作成 37%・マニュアル作成 30%メディアで取り上げられ、大問題になった後は対策をとる会社が多くなっています。一番多いのは、研修の実施で、1日営業を休んで研修をした企業もありました。規模が大きい企業ほど、何らかの対策をとる割合が高いそうですが、規模の小さな企業にとっても大変な問題となる可能性はありますので、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。□どのような対策が有効か?研修の実施が難しければ、朝礼の時、または社内掲示板、社内メール等で各社員に対して啓発活動を行うことが良いと思います。また、就業規則を整備し、その内容についてしっかり周知することも大切です。どういうことをすればダメなのか、懲戒事由に当たるのかを従業員に分かってもらわなければなりません。「言わなくても当たり前でしょ」ということでは、対策とはなりません。各従業員と、誓約書を取り交わすことが有効です。会社の信用を失墜させるようなSNSへの投稿、動画の配信をした場合、会社が被った損害に応じて損害賠償が発生することに同意する内容の誓約書です。
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前回の記事にて「同一労働同一賃金への対応について」ご紹介させていただきましたが、
今回は厚生労働省が示している格差解消のための取組手順をご紹介いたします!
① 労働者の雇用形態を確認社内の労働者の雇用形態をチェックしましょう。正社員の他、短時間のパートタイマーや有期契約の労働者等、どのような雇用形態の労働者がいるか確認します。② 待遇の状況を確認非正規社員の賃金、手当、福利厚生等の待遇について正社員と格差があるかどうか確認しましょう。特に、基本給や手当については格差が生じやすいです。③ 違いがある場合、その理由を確認基本給や賞与、手当については正社員と非正規社員では通常相違があります。その相違についてきちんと説明ができるかどうかが重要です。能力や役割による相違があるかどうか、その理由を確認しましょう。④ 待遇の違いが不合理でないか整理正社員と非正規社員の待遇の格差について、会社はその理由について説明することが義務付けられます。賃金、教育等について待遇の格差が不合理な格差になっていないか整理しましょう。⑤ 不合理な格差の改善を検討不合理な格差がある場合、待遇の格差を改善する必要があります。会社として、不合理な格差の是正に向けて検討していきましょう。⑥ 改善計画を立てて取り組むすぐに改善はできません。労働者の意見を聴取しつつ、会社で改善のための計画を立てましょう。取組には賃金規程等の改定が必要になります。一方的な不利益変更とならないよう改定は慎重に行うようお願いします。まずは、弊所にご相談ください!
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